「検索エンジンのGoogleの仕様が変わったと聞いたけれど、今はどんなSEOがいいんですか?」
と、質問されることが多い。
「どんな検索キーワードで上位表示を狙っているんですか?」
と、聞き返してみると、
「それも、よくわからないんですよね・・・
でも、今までは結構上位に表示されていたので」
というような回答をいただく。
この時のクライアントのニーズを見誤らないように気をつけている。
クライアントは、「検索上位に表示したい」というニーズの裏に
「検索上位に表示をして、集客と売上につなげたい」というニーズが必ず存在している。
正直、とにかく検索上位に表示させることだけなら、簡単にできる。
町の小さな個人サロンの場合は、
ホームページを公開して6ヶ月以上経っているのに
「地域名 + 技術名 + サロン名」で、5位以内に入っていないのであれば、
根本的にホームページの作りに問題がある。
今回、触れたいのは
「そのキーワードで検索上位に表示されてもいいのかどうか」という部分だ。
それを調べるために使うのが、Googleが提供しているキーワードプランナーだ。
キーワード候補と、検索ボリュームを調べる
「キーワードプランナーって、聞いたことがあるけれど、どう使っていいかわからない」
という方もいると思う。
どう使うかの前提として、何を調べられるか をお伝えしておきたい。
Googleのキーワードプランナーで調べられる項目は、2つ。
わかりやすく、ざっくり説明すると
「お客様は、どんなキーワードで検索しているか」の、キーワード候補探しと
「どんなキーワードが、過去にどのくらい検索に使われていたのか」の、自分で想定したキーワードの確認だ。
検索キーワードの確認をしてみよう
右側の「検索ボリュームと検索の予測を取得しましょう」をクリックすると、調べたいキーワードを入力する欄が表示される。
1行ずつ、キーワードを入れて「開始する」を押します。
出てきたページの「過去の指標」を、まずは見てみましょう。
下半身 ダイエット | 1000〜1万/月 |
美脚 | 1万〜10万/月 |
脚やせ | 1万〜10万/月 |
というのが、1ヶ月に検索に使われている回数。
これと、「ページ上部掲載の入札単価」を見て、何がわかるか。
ここには、推察する力が必要になる。
一見、「美脚」というキーワードが一番効率がいいように思える。
競合性も低いので、あまりこのキーワードを狙っている業者さんはいないようだ。
ただ、ページ上部掲載の最低単価が、ほかの2つの3倍以上になっている。
つまり、競合は少ないかもしれないけれど、資金力のある強い強豪が狙っているキーワードとも言える。
広告を出すことができて、資金力にも自信があるなら、「美脚」というキーワードを起点にしていくこともできる。
けれど、あなたのサロンが広告費をあまりかけられないということであれば、「美脚」というキーワードで戦うのは厳しいかもしれない。
検索回数が少なすぎるキーワードも気をつける必要がある
例えば、「名古屋 ヒップアップ」というキーワード。
このワードは、月間 最大100回検索に使われていて、競合性が低い。
つまり、「名古屋のヒップアップ専門サロン ◯◯◯エステ」とかのサロン名にすれば、
このキーワードで5位以内に入ることは、そこまで難しくないと予想できる。
ただ、逆に言えば、月間 最大100回しか検索に使われていないキーワードとも言える。
100人が1回ずつ検索しているかもしれないけれど、
20人が5回ずつ検索しているかもしれない。
そして、その20人が仮にサロンのホームページを訪問したとして、
予約につながる割合は、1割かもしれない。
そうなると、このキーワードで上位表示されたとしても、見込み顧客の獲得数は数人ということになる。
それが、悪いということではない。
具体的なキーワードで探している人を、確実にサロン来店にコツコツつなげていくのは、とても大事だ。
けれど、気をつけるポイントは2点。
ということだ。
この、キーワードの検索ボリュームをいくつか調べていくと、どんなキーワードでホームページを作るべきか、見えてくる。
検索キーワード候補を調べてみる
ここまでは自分の頭の中で想像をしながらキーワード候補を考える段階。
けれど、Googleのキーワードプランナーには、「こんなキーワードも使えるよ」と、アドバイスをしてくれる機能がある。
それが、左側の「キーワードを検索」だ。
ここで、「美脚」や「ヒップアップ」と入力すると、以下のような表示になる。
先ほどの「検索ボリュームと検索の予測を取得しましょう」と違っている点は、
調べたいワードの関連キーワードが表示されているということだ。
キーワード候補を取得するときに、よく言われるのが、Googleのサジェスト機能を使うこと。
例えば、「ヒップアップ」と入力をして、スペースを押すと、以下のようになる。
ユーザーが、「ヒップアップ」と合わせて検索に使っている言葉のリストが表示されている。
これの、詳しい版が、キーワードプランナーだと考えるのがわかりやすい。
本当に見込み顧客が知りたいキーワードかどうか
キーワード候補を調べていく上で、「本当にそのキーワードは、見込み顧客が知りたいと思っているワードか」を考える想像力が必要になる。
例えば、月間検索ボリュームを見ていくと、ほかと比べて明らかに数字が大きいものがある。
「タレント名 + 脚」のキーワードは、「あのタレントさんみたいな素敵な脚になりたい」という顧客層もいるかもしれないけれど
もしかしたら、ファンの男性の方かもしれない。
「臀部 どこ」というキーワードに至っては、
「そうか、そこが臀部なのか! よし、それをしっかり教えてくれたこのサロンにすぐに予約しよう」とは、絶対にならない。
キーワード候補のリストを表示した後は、想像力を働かせて、
「このワードで調べているということは、これに悩みを持っている人が多いのかもしれない」と、仮説を立ててみる。
その上で、1つの記事やコラムとして、それについてしっかり記載してみることをお勧めする。
つまり、いきなりサロン名につけたり、サロンの概要(description)を変えたり、メタキーワード(keywords)を 変えたりしない。
Googleは、本当に頭が良くなっているので、漠然とした内容のトップページよりも、
深くそのことが書いてある下層ページの方を高く評価して、上位表示してくれる。
あなたが何かのワードで検索をしたときに、そのサイトのトップページが表示されるよりも
そのサイトのブログ記事の1つが1位に表示されていることが多いことは、すでに感じているはずだ。
Googleの検索エンジンは「調べた人に、このページを紹介すれば、調べた人のニーズが満たされる」というページを1位に表示させる。
そのためには、内容をしっかり深掘りしていて、結論まで記述してあり、一定数のアクセスとシェアを獲得している必要がある。
だから、キーワード候補のリストの1つを狙う場合は、そのキーワードを深掘りした下層ページを作るのが早い。
大きなボリュームのキーワードを1つ狙うより、極小キーワードを10個狙う
サロンのホームページ運営では、小さなキーワードを細かく狙う方が、中長期的にみると効果的だ。
よくある勘違いとして、大きなキーワードをホームページ全体を使って狙うというパターン。
「名古屋 エステ」というキーワードで調べると、月間 最大10,000回検索に使われている。
WEB業者なら、このワードで上位を狙うこともできるだろうけれど、
サロンオーナーが、サロンホームページを自分で運用している場合は、少しハードルが高い場合もある。
そんな時は、まず地域キーワードを捨てる。
この場合は「名古屋」というワードを除外してみる。
なぜなら、Googleは検索した端末の位置情報を取得して、近い情報を自動的に表示してくれるからだ。
それがわかる例として、「市役所」で検索してみるといい。
いま、この記事を執筆しているのが、名古屋市西区なので、「市役所」と検索すると、家から一番近い市役所を検索上位に表示してくれる。
(前提としては、パーソナル検索機能が働いて、何度かアクセスしたことがあるものを上位表示するが、今回はそれについては省略する。)
これと同じことがサロンのホームページでも起こっている。
つまり、地域に関係がなく需要があるワードに力を入れれば、その地域の人が検索したときに自動的に上位に表示されるはずだ。
地域名については、サロンの住所をホームページに掲載し、Googleマイビジネスに申請さえしていれば、Googleが勝手に取得してくれるので
わざわざホームページにエリアを入れなくてもいい。
大きな都市の上位表示を狙う場合は、タイトルに入れる必要がどうしてもあるけれど
今回は、町の小さな個人サロンをケースに話を進めているつもり。
検索キーワード候補には、ターゲットを入れずに、ニーズを入れる
地域名のことも当てはまるけれど、よくある間違いが、
「女性専用エステサロンだから、女性専用をキーワードに入れよう」というもの。
え? 何がダメなの?
うち、入れてるけど?
という方も、いると思う。
それについて、説明していくね。
例えば、町の中で「ニンニクたっぷりコテコテ濃厚とんこつラーメン屋さん」が、あったとする。
一部の、ラーメン好きの女性を除いては、なかなか女性一人で入ることが少ないお店だと言える。
もちろん、「本当は入りたいんだけれどな」という、潜在的なニーズはおいておいて。
コアな女性客も、実際にはいるだろうし
男性客に連れられて入店する女性客もいるとは思うけれど
そのラーメン屋さんは、「男性専用 コテコテ濃厚とんこつラーメン」とうたわなくても、男性客が多いのは明らかだ。
男性が美味しいラーメン屋さんを探すときに、男性専用で探すことはほとんどない。
女性が、「女性も入りやすいラーメン屋」で探すことは、あるかもしれないけれど。
エステサロンも、男性の需要は一定数ある。
だからこそ、メンズエステ というジャンルが確立している。
けれど、一般的にエステと言われたら、女性が美しくなる場所というのは、定着している。
つまり、「女性専用」というのは、ホームページの何処かで伝えてあげると安心感はあるのかもしれないけれど
検索キーワードとして重視するものではない。
他にもあるのが、「仕事で頑張る30歳以上の女性のエステサロン」というようなキーワード。
それを、サロンコンセプトとして据えるのは、問題ない。
「あぁ・・私のことだ」と、サロンのペルソナさんに刺さるのであれば、キャッチフレーズとしては優秀かもしれない。
けれど、検索ワードとしては、無駄が多い。
「仕事で頑張る エステ」
「30歳以上 エステ」
「女性 エステ」
ターゲットを指すキーワードは、検索ではあまり使われない。
仮に、そのワードで1位をとったとしても、効果的な集客が見込めるとは思えない。
それよりも、お客様のニーズを表すワードでの上位表示を意識する方が効果的だ。
例えば、「水着 ヒップライン」で検索をしている人。
下心のある男性の場合も、ゼロではないだろうけれど、
「今度、友だちに海水浴に誘われたんだけれど、水着かぁ・・・。
お腹は、なんとかラッシュガードで隠せるけれど、ヒップラインがなぁ・・」
という悩みを持っている場合もあるだろう。
そんな人に向けて
「まだ間に合う! 海水浴で堂々と水着を着れるヒップライン造形コース この夏限定20%オフ」
とかのメニューを作れば、「水着 ヒップライン」で検索をした地域のユーザーに刺さるだろう。
また、願望キーワードと、ネガティブモチベーションも、ブログ記事で取り上げるキーワードには適している。
ただやりすぎると、サロンのホームページ全体にドロドロ感が出てしまうので、センスは必要だが。
願望キーワードは、「こうなりたい!」という言葉。
例えば、「若く見られたい」というキーワードは最大1000回検索に使われていて、競合性も低い。
ネガティブモチベーションは、
「こう言われちゃった・・なんとかしたい」
「私って、こう思われてないかな・・そんなの嫌だ!」という、
ネガティブな感情から生み出される動機付け。
例えば、「肌が汚い」というキーワードは、最大10000回検索に使われていて、競合性も低い。
とはいえ、お客様の感情を考えると「肌が汚い人のためのエステサロン」と表現することはできない。
そういう場合は、
「もう肌が汚いとは言わせない! 美肌最短ルートのエステコース」というコースを作ってみるとか、
「なんであの人はあんなに肌が綺麗なんだろう。 汚い肌と綺麗な肌の決定的な違い」と、キーワードを分離してコラムに配置してみるとか、
センス良く、キーワードを入れる必要があるだろう。
キーワード設定に大切なことは、想像力
Googleのキーワードプランナーについて考えてゆくと、何よりも大切なことは、お客様の悩みや課題に心から寄り添える力だと気づかされる。
それには、単純に並んだ言葉(キーワード)から、「お客様は、本当はこう思っているかもしれない」と、想像する力が大切だ。
そして、小さな個人サロンが資金をあまり書けずにホームページで戦うには、
頭の良くなったGoogleときちんと向き合う必要がある。
検索のテクニックとか、一時的な抜け道ではなく
Googleの検索エンジンを信頼し、Googleに信頼されるコンテンツを作ることこそが
ホームページ運用という観点から言えば、お客様に信用していただける最短ルートになるだろう。