このページに書いてあること
アクセサリーの販売プラットフォームのメリットとデメリット
minneとか、creema とかでアクセサリーを販売している人が増えていますね。
ちょっとcreemaの人気ランキングとかをみてみたら、販売中の作品が600個とか、販売済みの作品が12,000個とかの人も多くて、「もう実際の店舗を持つ意味って、少なくなってきてるなぁ・・」と改めて感じます。
例えば、creemaで12,000件くらいの販売実績がある人って、1つ1,100円くらいで販売していたんです。
となると、売り上げとしては1200万円!
どのくらいの期間で売り上げたのかというポイントもあるとは思いますが、シンプルに聞いて
「アクセサリー販売で1200万円」って、お仕事としてはすごく憧れの数字だと思うのです。
手数料が10%ほどなので、120万円が手数料だったとしても ビジネスとして十分成り立つ数字だと思うし、
minneや、creema というアクセサリー販売プラットフォームの可能性を感じます。

Creema イヤリング販売ページ
一方で、一部の人気クリエイター以外にはハードルの高い場所だとも感じます。
どの世界でも同じだとは思うんですが、人気になるまでの下積みや努力が欠かせなくて、その上で検索結果が99,256件とかある中で、自分のたった1つの作品を見てもらい、気に入ってもらい、手に取る前に購入を決断してもらう必要があります。
「だから、ceemaやminneで販売する方がいい」と思う人もいるでしょう。
けれど一方で、「自分の作品の魅力を もっと直接伝えたい。知ってもらいたい」と思う人もいます。
今回、アクセサリー販売の企画を一緒にさせていただいている セントイロの市沢英子さんは、「アクセサリーの作品の魅力をもっと直接伝えたい」と思いました。

アクセサリーの販売ページには
人物が映らない3つの理由
- 人物の印象が作品よりも強くなってしまう
- モデルの継続的な確保と、撮影許可を取るのが難しい
- 自分の好きなタイミングで作品を公開できない
主に、そんな3つの要素があります。
人物の印象を伝えるのはInstagramで気軽に伝えていって、そこから販売ページに誘導をして 商品自体を見てもらう時にはアクセサリーだけの写真にする というのが主流の見せ方になっています。
最初の興味関心のところでは感情が動くようにモデル写真やお友達が使っている写真を使い、商品自体の特徴や特性を知ってもらう時にはアクセサリーだけに注目してもらうように人物は使わないようにしている人が多いです。
人物の印象が作品よりも強くなってしまう
アクセサリーを販売するときに、アクセサリーのイメージが人物によって左右されちゃうと、本当は伝えたいアクセサリーの魅力が伝わりづらくなってしまいます。
「アクセサリーもいいけれど、なんでこのモデル選んだんだろ?」
「このモデルさんが付けていると、なんだか印象が落ちるなぁ・・」
ということは、意識しないにしても時々感じることです。
それで購入の手が止まってしまうとしたら、できるだけその要素は排除しておきたいところです。
モデルの継続的な確保と、撮影許可を取るのが難しい
人物写真を使うデメリットの2つ目は、モデルの確保です。
モデルを継続的に確保するには、モデル料を支払い続けなければいけない場合が多いです。
また、友達や知り合いがモデルとして協力してくれるとしても、写真をずっと使い続けても大丈夫という許可をもらう必要があります。
極端な話、お友達の写真を使ったとして
「クラスのママ友に”プライバシー的に良くない”と言われたから、やっぱり写真を使わないで欲しい」
と言われたとしたら、そのモデルが写っている全ての作品の写真を撮影し直す必要が出てきちゃいます。
それは、やはりリスクになる場面が多いです。
自分の好きなタイミングで作品を公開できない
クリエイターあるあるだと思うのですが、デメリットの3つ目としては、自分の好きなタイミングで作品を公開できないというものがあります。
作品ができあがり、自分のテンションが高い状態の時に発信したいのに、「モデルさんに依頼しなきゃ」とか、「いつも頼んでるあの子とスケジュール調整しなきゃ」というタイミングのずれが生じます。
クリエイターとしてはこのタイミングのずれがモチベーションにもつながるので、自分の情熱がホットなうちに発信をしたいという気持ちになることも少なくないはずです。
モデル写真のデメリットを
メリットに変えられないだろうか
- 人物の印象が作品の魅力に繋がる表現ができないだろうか
- アクセサリー写真がモデルさんのメリットに繋がるようにはできないだろうか
- 作品の公開タイミングを、自分のテンションが上がっている時に調整できないだろうか
ということを考えました。
アクセサリーが
写真作品の一部になる
最初に取り組んだのは、アクセサリーを紹介するための写真を撮るのではなく、作品としての写真の重要な部分にアクセサリーが存在しているという表現です。あくまでも写真作品作りのアクセントとしてのアクセサリー。
そうすると
「私のアクセサリーが、写真作品に使われました」
と言いやすいんじゃないだろうかと思ったのです。
売り込み的な投稿ではなく、間に写真作品というフィルターを通すことで、純粋にアクセサリーとしての活動を紹介しやすくなるのではないかと考えました。
そして、作品作りとしての写真撮影のアクセサリーなので、モデルさんの依頼や手配を自分でする必要がなくなります。一緒に素敵な写真を作る仲間として、参加することができます。
そして、モデルになってくださった方も含めて、SNSに投稿しやすくなります。
アクセサリーを紹介するための撮影よりも、撮影にアクセサリーを使ったという方が気持ち的にもシェアしやすくなります。
アクセサリーが写真作品になる
次に取り組んだのが、マクロ撮影です。
マクロ撮影というのは、モノを近い距離で撮影する撮影手法のことです。
いわゆる「ブツ撮り」は商品の状態を購入者に詳しく伝えるための撮影ですが、マクロ撮影はそれよりもアート的な要素が強くなります。
すごく乱暴な表現をすると、「見ればわかる」という情報を伝えるのがブツ撮りで、「見えなかったモノを表現する」のが写真作品としての撮影だと考えています。
オンラインでアクセサリーを販売するためには、手に取って確認することができないので
- どのくらいのサイズなのか
- どんな色合いなのか
- チェーンなどの形状はどうなのか
などの情報を伝えていく必要があります。ブツ撮りはどちらかというと情報を伝えるための撮影です。
一方で、写真作品としてのマクロ撮影は、それも含めた上で アート要素を伝える撮影だと考えています。
- アクセサリーの細やかな模様はどんな思いなのか
- 小さな傷はどんなメッセージがあるのか
- 光沢にはどんな表現力があるのか
そういった情報は、本来は知らなくてもいい情報です。気軽にアクセサリーを雑貨店で購入するときとかは、傷の意味とか内側に配置された装飾の意味とかを考えることはあまりなく
「わー、かわいい!」
という思いで購入することが多いはずです。
けれど、意味を知るとメッセージ性が強まるということはよくあります。
街を歩いているときに、置いてあるピアノで演奏している人がいるとします。
多くの場合は、その腕前で足を止めます。
または、演奏している人の見た目で「こんな小さな子が弾いてる」とか、「こんな意外な人が弾いてる」ということで足を止めます。
それは、商品撮影のイメージに近いです。
しかし一方で、内面の繊細さは見ただけでは伝わりません。
実は演奏している人が自閉症の子かもしれません。
難病で余命宣告されたことがあり、ピアノを弾くことが楽しみで健康を取り戻したかもしれません。
お子様の結婚式で演奏するために、定年してから練習をしたのかもしれません。
そういう、本来は見えないけれど、価値が高まる情報を伝えるのが、作品撮影としてのマクロ撮影だと考えています。

写真: 百人一写
アクセサリー販売の可能性に挑戦したい
そんな思いで、セントイロの市沢英子さんのアクセサリー販売のプランを考えています。
仕事をする上で、お金のことをきちんと考えるのはすごく重要です。
その上で業務だけに留まらず、表現の可能性を探っていくことは、今の時代 ものすごく大切なことだと考えています。
周りを見渡せば同じようなものがたくさんあり、自分が選ばれなくても事足りることがほとんどの中、どう選んでいただくかを考えなければ価値は伝わりません。
いま挑戦しているセントイロの市沢英子さんのアクセサリー販売サポートは、写真撮影や通販システムの構築業務という意味合いだけではなく、アクセサリー作家としての価値をいかに伝えるかという挑戦でもあります。
その挑戦の中で、他の人がやる手法もポイントを抑えながら、人がやっていない手法で表現できないだろうか。
そんなことを、
アクセサリーの作品写真って、人物がうつらないけど どうしてだろう?
という疑問から考えて、自分なりの仮説を立てて戦略を構築し、挑戦していっています。